ぐしゃ、どしゅ、ばり……。一秒に一匹、二秒で二匹。わたしの槍はオクトパスを貫き、グ ミさんの鉄球はメイプルキノコを砕く。二匹の異形はそれぞれ、紫は全身を痙攣させ…溶けてなくなり、キノコはぽんっと小さな傘を飛ばして同じく溶ける。今 まではなんでもない、ただの作業。わたしの容姿に油断して、大量に迫り来るモンスター……それを殺して、メルと戦利品を大きな袋に詰める。それだけだっ た。だからわたしは、ついさっきまでこの行為を楽しいと思う人がいるなんて信じられなかった。
でも今は違う。
「ユアさん、今日やること全部終わったら何食べよっか?」
「そうですねぇ……タコなんてどうですか?」
「うぇ〜…絶対やだ」
ただおしゃべりしてるだけで、一人じゃないってだけで……こんなに楽しいなんて嘘みたい。やっていることはただの虐殺なのに、最悪なのに…。わたしはグミ さんの一撃で飛んできたデンデンの残骸を、半身をさばいて避け、後ろから狙っていたオクトパスを、槍の柄の部分で串刺しにする。当然、持つ場所に矛先なん てついてないから、力任せで内臓ごと潰した。モンスターだって痛みを感じて、ナイフが突き刺されば苦しむし、致命傷をつかなければ…じわじわと…衰弱して 死んでいく。
 わたしはためらいなく、まだ動いている紫色の生物から槍を引き抜く。だけど、予想外なことにオクトパスの体に開いた穴から、紫色の液体が噴出してきて顔 にかかった。それはぬめぬめしていて……色こそ違うけど、まるで…
「ユアさん、その顔大丈夫!? なんかすごい紫になっちゃってるけど…」
わたしはモンスターの体液をぬぐいながら、笑って
「うん、大丈夫。それより……」
「ん、なに?」

「PTってとっても楽しいね」
「うん!」
*
おい、ここは何なんだよ。そもそもどうしてあんな小さな玉の中に俺が入れてるんだよ。
そして、目の前に一面に広がる青と白の花畑(?)はなんなんだよ。百匹や二百匹なんて数じゃないぞ。
あのクソジジイのことだ…銃関係のもの以外はロクに手入れもしないから、こんなことになってんじゃないか。
それとも、俺嫌われてんのかな。金なくて…飯代も相当切り詰めてて、それでもぶっ放したくなったときは黙って拝借したもんな。でも、これはさすがにやりす ぎだろ…。いくら俺でもこの数は……
下手したら死ぬぞ。