「カリカリカリカリ…」
私たちは今、PT屋の会員となるための書類をかいている。こんなに真剣にものを書いたのって始めてかも…。ちなみに書類の内容はこんな感じ。
1.名前 グミ
2.性別 ♀
3.年齢 16
4.職業 クレリック
5.レベル 23
6.使用武器 メイス
7.出身地 メイプル島
8.一言頑張ります!
うん。ばっちりね。シュウはできたかな?
「よし! できた」
「どれどれ…何これ、読めないよ」
「グミって字読めなかったっけ? じゃあ説明してやるよ」
「字くらい読めるわよ! あんたの字が汚くて読めないっていってるの!」
「俺は読めるんだけどなぁ…。」
シュウは自分が読めればいいと、修正せずに出すつもりらしい。後で困るのはシュウだし、別にいっか。
私は二枚の書類を持ってカウンタへ持っていく。
「お。書き終わったみたいだね。では登録料1人3kで、二人で6kね」
「え、お金取るんですか?」
「あれ…? 知らなかった? 僕はコレで生活してるんだけど…」
レフェルが最初からPT屋を薦めなかった理由が分かった気がする。
6kかぁ…コレと宿代、食事代でイルのときの報酬消えちゃうかも。 ん? 何で私が全額払うのよ!シュウにも払わせてやる。
「シュウ、今の3kと食事代、宿代立て替えてるから、今までの10kと利子…しめて20k借金ね」
「鬼だ……」
シュウの暴言(?)は無視して、PT屋に6k支払う。痛い出費だな…。
「毎度ありー。コレで君たちもはれてPT屋の会員だ! 早速PT募集してる人のリスト…見るだろ?」
「見ます!!!」「見るに決まってんだろ」
「仲がいいな。えっと、どの職でどのくらいのレベルがいいんだい?」
「私たちより強い戦士がいいから、25レベルの戦士でいいよね…?」
「いいんじゃないか?」
シュウは肯定とも否定とも取れる曖昧な返事をする。どうでもいいのか…こいつ。
「じゃあ25レベルの戦士で!」
「OK。…う〜ん…いないな…」
店長は更にリストをめくるが、一向に見つからず、うなってるばかり…・。このままだと6k払い損じゃん!! お願い見つかって…!
「お…1人だけいた」
「やったー!」
思わず叫んでしまう。だって嬉しかったんだもん。
「名前はコウ、25レベルの男戦士だ。歳は20、武器は両手剣だってさ」
ずっと話を聞いていたシュウも口を挟む。
「へぇ…両手剣か。かっこいいな〜それに男ってことは、そいつと協力すれば、グミも少しは…いやゴメンナサイ。なんでもないです…」
シュウが何を言いたいかはわかるけど、私を怒らせることばかりするシュウが悪いと思う。こんなのほっといて、早く会いにいってみよ。
「あの、そのコウさん?に連絡取れますか?」
「連絡は取れないけど、何処にいるかはわかるよ」
店長は丸い懐中時計のようなものをとりだして私たちに見せる。何か名前の書いた点がうろうろしているけど……。
「コウっと…ああ、いたいた! 深い谷にいるみたいだ。多分レベル上げのために頑張ってるんじゃないかな?」
大きな剣を振りかざし、敵をぶった切る戦士を思い浮かべる。シュウより頼りになるかも。
「ありがとうございます。早速会いに行って来ますね」
私は本をカバンにねじ込み、レフェルを腕に抱えながらドアノブに手をかける。それを店長が引き止める。
「待って待って!ちゃんとPT屋からの紹介だって言わないと、向こうも怪しむかもしれないから、これをもっていくといい」
店長はそこにあった紙切れに、「PT屋からの紹介by店長」とサインまで添えて紹介文をくれた。
「これで、疑われることはまずないだろう。最近PTを組んでだまし討ちや強盗をする輩もいるからね…。まったく商売敵だよ」
「これから旅する仲間にそんなことするなんて、信じられない!」
「いや…店長がいってるんだから本当なんじゃないのか?」
「…シュウはそんなことしないよね」
「その手があったか…なんだよその目は…。冗談だよ。もしその気なら、借金抱えてないでとんずらするさ」
あぁよかった。もし逃げたりしたら、地の果てまで追いかけて追い込みかけるから。
「そう。じゃあ行こっ!」
「おう!」
メモをポケットに入れ、新たな仲間へのドアを開ける。戦士が仲間になる日も近い…?
続く
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