「inペリオン宿屋」
私たちはイルと別れた後、これからの計画を立てるために宿屋で休むことにした。リスからここまで歩いてきたんだから疲れて当然よね。シュウはご飯を食べた 後すぐに寝てしまった。
大蛇との死闘で疲れているのは分かるけど、これからのこと話そうと思ってたのに…。こういうときはこれに聞くしかないわね!
私はレフェルを手に取り、ベットの角に思いっきり叩きつける。
「ガンッ!」
ベットの角は音を立てて砕け、破片が飛び散る。ちょっとやりすぎたかも…。
「レフェル…起きた?」
「最初から寝てなどいない。と言うより寝てたとしても、もっと優しく起こしてくれ」
「今度から気をつけるわよ。そんなことより、これからどうしようか?」
「困った時の我頼みか。そうだな…せっかくここは戦士の村だし、仲間を増やしたらどうだ?」
「そうだね。どういう人を仲間にしたらいいかな?」
「お前はクレリック、シュウはトラッパー…だが先例がないからガンナーでいいだろう。クレリックは普通、後衛で味方の補助や回復を行う。ガンナーも普通、 後衛で援護射撃を行う。つまり…戦闘の要である前衛、シーフや戦士といった所だろうな。言い加えるが、普通クレリックは接近して相手を殴ったりはしない し、ガンナーはバズーカを振り回したりはしない…お前たちは異常だ」
異常って…そんな言い方しか出来ないのか、このメイス。
「何でクレリックやガンナーが接近戦しちゃいけないのよ?」
「クレリックは守りの要だからだ。お前がやられたら、誰がシュウのことを回復するんだ?」
「あ……」
「ガンナーが後衛なのは、銃という武器の性能からだ。銃って言うのは基本的に遠距離からの狙撃使われる。シュウのように敵の体に直接当てて打ったり、激し く連射すると暴発することもある。後、銃の反動は弓と比べてかなり大きいから、隙も多くなる。つまり近くで射撃する場合、一撃で決まらなかった場合は手痛 い反撃、下手をすると死ぬこともある。そして、これはクレリックにもいえることだが、ガンナーは防御力が低いからな」
レフェルが一息で言い終えると、いきなりシュウが飛び起きる。
「要はシーフか戦士を仲間にするといいってことだな!?」
「そうだけど…いつから起きてたの?」
「これのせいだよ」
シュウは自分の額を指差す。あ…さっきのベッドの破片が突き刺さっている。血がどくどくと流れ、結構傷が深そうだ。
「人が気持ちよく寝てたら、いきなりこれだもんな。あ〜いたいいたい」
「ゴメン、、レフェルを起こそうと思ってしたんだけど…『ヒール!』」
「傷くらいすぐ治るから、別にいいけどさ…。それよりその戦士って言うのはどの辺りで仲間になるんだ?」
私が知ってるわけないから、レフェルに聞いてるんだよね。
「さぁな。ペリオンは戦士の村だから、手当たりしだい声をかけていけば、1人くらいは仲間になってくれるかもしれない。それでダメなら…何ていったけな?○イーダの酒場PT屋で、PT希望の戦士がいないか探 してみるのもいいかも知れない」
私はは相槌をつき、
「なるほど…。片っ端から勧誘して、それでダメならPT屋ね。レフェルって頼りになるぅ〜」
私はレフェルの柄の部分を撫でてやる。
「気持ち悪いから撫でるな」嬉しいくせに…。
私は更に撫でるが、反応しなくなったのでやめる。やっぱりかわいくない…。シュウは、
「なぁ…グミ、俺にも」
シュウが話し終える前に、レフェルが宙を舞う。結果は想像に任せます。
*
翌朝…。
「すいませーん! 私たちとPT組みませんか?」
私は笑顔で、大きな斧を持った戦士に話しかける。今度こそは…。
「あんたたち弱そうだから、止めとく」
「あぁ、そうですか。それではまた今度…」
「もう会うことは無いと思うけどね」
私たちは冷たくあしらわれ、戦士は去っていく。これで15人目だ…。私とシュウは順番に戦士の人たちに声をかけているが、シュウが話しかけると、
「変態ぽいから嫌」
と一瞬で断られるか、話しかける前に逃げられるかのどちらかで、私が話しかけると、
「弱そうだから」とか、「何か怖い」とか…酷いのは、「そんなことよりそこでお茶しない?」とか…まるで相手にしてもらえない。一度だけレフェルにやって もらったこともあったけど、その人は「お化け〜!」と叫びながらどこかへ行ってしまった。これからどうしよう…。
「なぁ…次、あそこの戦士に声かけるか?」
断られ続けて、もうすぐお昼になるというのに、シュウには全く応えていないようだ。私は呆れつつも、
「もうお昼にしよう…。疲れちゃった」
「じゃあそこの飯屋で適当になんか食うか。それが終わったらもう一度勧誘に行こう」
「うん。それとPT屋ってのにも行って見よう。何か収穫があるかも」
「あぁそうだな。まぁとりあえず腹ごしらえだ」
私とシュウはレストランに向かって走り出す。中で起こることは誰も知らずに。
続く