「…お前どうかしたのか? すごい勢いでここまで走ってきたようだが…」
目つきの悪い男が言う。お前とは失礼な…と思うけど口には出さない。それよりいこと思いついた。
「変態に追われてるんです! 助けてください!!」
「なに? こんないたいけな女の子を襲うとは…ふてぇ野郎だ!」
周りにいた冒険者や、おじさんが私の前に立ちはだかる。変態って言うのはもちろん…
「グミー! なんで逃げるんだよ。っておわっ!!? なに、この強面のお兄さんたち…」
「変態ってのはお前か…確かに髪型といい格好といい変態ぽいな…。覚悟しな」
シュウのアンテナがピクッと動く。
「いや…俺は別にそんなつもりじゃ…。グミ、何とか言ってくれよ!」
「この人ですっ! 怖いぃぃぃ!!」
我ながら名演技。シュウにはこれくらいのお灸をすえとかないと。
「うわぁぁぁ!!! グミなんてことをおおおお!!!」
「ドカ! バキ! ゲシゲシ!」音声のみお楽しみ下さい。
「…これに懲りたら二度とこんなことするんじゃねぇぞ!」
冒険者たちが去った後、シュウは何事もなかったように立ち上がる。こいつ…不死身か?
「いってて…いったい何の恨みがあってこんな事…」
「あんたの力を確かめようと思って…シュウならみんなやっつけるかなと思ったんだけど。抵抗しないんだね。見直したわ」
「だって相手は見知らぬ人だぞ? もし強かったらヤバイじゃないか!」
そんなこと考えてるんだ。でも全然効いてなかったみたいだけど…。
「終わったらヒールで直してあげようと思ったけど、たいしたことないみたいね」
「そういう問題じゃ無いだろうが…ほらここ、血出てるし…あ、止まってるな」
全然大丈夫じゃん…。ずっとつまらなそうにこっちを眺めていた目つきの悪い人が突然口を開く。
「茶番は終わりか? 何か用ならさっさとすませてくれないか」
そういえばこの人は私の前に出てこなかったわね…最初から分かってたのかな?
「いきなりこんなことやってスイマセン、この大陸の町について知りたいんですけど…」
「最初からそう言え。大陸の町については俺が一番知ってるからな」
この人なんか感じ悪い…でも町に詳しいのは本当みたい。私たちが行くべき町を示してくれるといいけど…。
続く