目覚めるとベッドの中にいた。こういうシュチュエーション…前にもあった気がするなぁ。 体のいろんな所が痛い……。私は確かグリフィンと戦って、マジックガードを使って、気絶したはずだけど…どうしてこんなところにいるのかしら?
「よぉ! 元気になったか? 2日も目を覚まさないから心配してたんだぞ」
シュウの話によると…どうやら私は2日間も眠り続けていたらしい。
「あんな実戦でスマッシュを使わせてすまなかった。体は大丈夫か?」
レフェルも心配してくれている。目の奥が熱くなる。涙が出ないように強がって言う。
「体の方は大丈夫…それより聞きたいことが沢山あるの。グリフィンはどうなったの? 試練の結果は? ここはどこ?」
シュウは少しはにかみながら、教えてくれる。戦いの時には絶対見せない表情。
「グリフィンはグミのマジックガードのおかげで倒せたよ。守るっていったのに、守られたのは俺だった……ボディーガード失格だな」
本当にすまなそうな顔をしてる。でもあの時シュウがいなかったら私はどうなっていただろう?答えは聞かなくても分かってるけど。
「そうね…本当なら首なんだけど…借金がまだだから、まだまだ頑張ってもらうわよ。」
「ひぇー…」
今度はレフェルが口を開く。
「試練のほうは不明だ。審査官がどこかにいってしまったからな。ちなみにここは最初の日に泊まったホテルだ」
「それじゃあ受かったのか落ちたのかはまだ分からないのね…。ん、そういえば私を運んでくれたのは…」
そこまで言って、一緒にいたのがシュウだけだったこと思い出して、顔が朱に染まる。
「シュウ…その、ありがと」なんとかそれだけは言葉に出来た。シュウは、
「いやー重かったぞ。歩いてる途中で足からだらだら血が出てきてさ」
ますます顔が赤くなる。でも、そんなになるまで頑張ってくれたんだ…
「重くて悪かったわね…ちょっと傷見せて」
「いいけど、もう直ったぞ?」
シュウが包帯を取ると、その大部分が既に治癒していた。どういう身体してるんだこいつ。
「治ってるだろ? 前はこんな感じじゃなかったと思うんだが…グミのヒールが効いたんだな、きっと」
「でも一応かけておくね…ヒール!」
シュウの怪我が完全に癒える。つい最近にこの足が引き裂かれたかどうかなんて、もうわからない。そのときコンコンとドアをノックする音がした。シュウは外 にいるのが誰…もしくは何がいるの確認する間もなく、ドアを開く。無用心にも程があるわよ…。
「身体の調子はどうだい? あの洞窟からあんなバケモノが出てくるなんてびっくりしちゃったよ」
聞いたことのある声…あの審査官さんだ! あの人がわざわざ訪ねてくるなんて、もしかして合格発表?
「身体の調子は割といいみたいです。審査官さん、こんなところまで来てもらってゴメンナサイ」
「謝りたいのは私のほうだ。あんな危険な試練を受けさせてしまって…。どうやらあのグリフィンは、何者かが二日前の早朝、洞窟内に放したようだ。悪意ある いたずらだよ…」
「え? それではアレはラスボスじゃなかったのですか?」
気づかないうちに、シュウの口調…ラスボスと言ってしまう。
「ラスボスってなんだね…試練用のデカいデンデンは、殻ごと消し炭になっとったよ。小さいデンデンは天井や小さな穴に隠れていて、難を逃れたようだがね。 スライムはほぼ全滅…しばらくはリス転職場は閉鎖だな」
スライムを全滅させたのが、私たちだなんて口が裂けても言えない…。シュウがいきなり口をはさんでくる。
「なっ…ちょっと待ってくれ! アレがラスボスじゃないとしたら俺たちの転職はどうなるんだよ!?」
う〜ん…それは確かに死活問題かも…。あんなに危険な思いしたんだから。
審査官はニッコリと笑って、
「実は逃げたように見せかけて、君たちの様子を伺ってたんだよ。魔法に銃器、武器の扱いにコンビネーション…すごかったよ。戦利品はもって帰ってくること は出来なかったが、私が転職場管理委員会に直訴して、合格にしてもらった!」
シュウの顔がパッと明るくなる。
「よっしゃあああ! ついに俺も念願のガンナーに!!!」
「私も魔法使いになれるのかな…?」
「二人とも合格おめでとう。好きな職業になれるといいね」
え…好きな職業になれるといいねって…
続く
第3章7 ぐみ2に戻る