突然現れた青年…今はまだ秋なのに黒いコートを羽織っている。なのに足はサンダル!? 鳶色の目に、青い長髪…かと思いきや一本、というか何本かが角のよ うに上を向いている。鬼太郎!妖気を感じてるのか!?何 かアンテナみたいだから「アンテナ」と呼ぶことにしよう。
「おい! なんだ手前は? バカか」
チンピラどもは下品に笑う。というより誰からみてもバカだと思う。アンテナ君は、
「バカじゃねぇよ! 確かに頭はちょっと悪いけど…」
せめて全否定してくれよ…
「やっぱりバカじゃねぇか! バカはさっさと家帰って寝てろ」
「事情があって帰れないんだよ! こっちだって困ってるんだ!」
あの…私を助けてくれるんじゃなかったの?
「わかんねぇやつだな。とにかく失せろよ…コレからショータイムなんだからよ。」
私を掴む手に力がこもる。だんだん腹立ってきたな…・
「ショータイム? 俺も混ぜてくれよ」
どうやらただのバカじゃ無いらしい…大バカだ、こいつ。
「俺らだけのショータイムだ。お前はさっさと帰れ! 電波が!」
電波…それもいいかも…。
「なんだよ…だから帰れないって言ってるだろ!?」
あぁ…もう限界…。
「レフェル…こいつらぶっ飛ばしていい?」
小声で聞いてみる。レフェルは、
「我が許す。殺せ」
まるで興味がなさそうだったけど、なんだか怒っているようだった。許可も下りたし(許可なしでやるけど)よーし! いっちょやりますか…そのとき電波君は 背中から何か大きな鉄パイプのようなものを出していた。
「あぁもうごちゃごちゃうるさいな…こいつで少しお灸をすえてやらないとな」
なんだろうあの大きな鉄パイプは? 取っ手が付いてるみたいだけど、鈍器かなぁ? チンピラたちはそれを見て少し後ずさりしている。そんなにあの鉄パイプ が怖いのか…
「お前らビビるんじゃねえ! 強くもねぇガキが、銃もっただけで強くなった気してんだろ。おまえらチャカだせや!」
チンピラどもは一斉に青年が持ってるやつよりもずっと小さい鉄の塊みたいのを出す。中には持った手が震えてるのもいた。見たことは無いけどなんとなく武器 だろうかと想像する。あんなので殴られても大して痛そうには見えないけど…。
「プッ…銃出して強くなった気でいるのはお前らじゃねぇか。いい大人がガキ相手に8対1で銃向けるとは笑わせるぜ」
先に武器出したのはそっちだった気が…チンピラたちは大分プルプルきている…カルシウム不足だよ君たち。チンピラの頭らしいやつが全員を制して言う。
「挑発に乗るんじゃねぇ…お前ら4人は今日のメインディッシュを抑えてろ。傷つけんなよ!」
女の子1人に4人も付かせるなんて…用心深いというか、情けないというか…。
「お前ら…10秒やるからその娘を放してさっさと失せな。カウントするぞ10…9…あぁ面倒だ0」
おい! だったら最初から3秒って言えよ!
「パンパンパンパン!」
四発の乾いた音がした。はっきりとは見えなかったけど黒くて小さな玉のようなものが青年へ向かって飛んでいく。ものすごいスピードだけど、あれが当たった ら痛いのだろうか…?
続く
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