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 化け物。
少女は行く先々の村でそういわれた。
なぜ自分がそう呼ばれるのかはわからない。
ただわかるのは、
自分の中に『何か』がいること。
それだけだった。
宿が見つからず、今日も森の中で少女は眠りにつこうとした。
大抵の人間ならその寒さに耐えられない。
しかし、少女は違った。
寒さが心地よく、暑い所にいても平然としていられる。
少女は眠りにつき、夢を見る。
しかし、今日はいつもと違う『夢』を見た。
そこは白い雪原。
周りに枯れた木々が立ち並ぶ地。
そして少女の目の前に、
それはいた。
銀色の毛で覆われた白い狼。
その狼が口を開いた。
『始めまして、ってとこだね。姉さん』
「誰・・・?」
『誰、といわれても名前がないんだよあたしには。』
「どうして?」
『あたしは姉さんであって、姉さんはあたしだからさ』
「・・・?」
『ちょっと難しいかな、でもいずれわかるよ』
少女はいまだに首をかしげている
『おっと、そろそろ時間だ』
「え・・・?」
『そろそろ朝がくる。また夢の中で会おう。姉さん』
「え、待って・・・」
その瞬間目の前がまっくらになった。


目を開けるとすでに夜が明けていた。
そして少女はまた歩き出す。
しかし、少女は――ユア――は以前よりさびしくなかった。
夜が来るとまた、もう一人の自分に合えるのだから。

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